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HAORI

Salone del Mobile. Milano / Salone Satellite 2023

光に羽織りをかける

着物の「羽織」からインスピレーションを受け、光を包み込むシェード自体が自立する照明器具。

 

光に羽織りをかけることで、空間の中で光の輪郭が浮かび上がる。

本作は、進藤自身が羽織に袖を通した際に感じた「晴れやかな心地のよさ」がきっかけとなり誕生した。現代の生活では徐々に着る機会が減っているものの、伝統的な衣装である「着物」、そして「羽織」の風情ある美しい姿をインテリアシーンに取り入れようと考えた。

構想段階での紙を切って様々な形状を試すというプロセスを経て、素材をシンプルな平面形状に切り出し、そこから立体的な造形に立ち上げている。光源は、スティック状のLED照明器具をシェードの内側に設置しており、簡単に取り外すことが可能。

この「HAORI」は、シェードの素材を替えるごとに「着替える」ことができる照明器具として、シーンに応じて新たな装いで空間に寄り添う。例えば、シート状の金属、革、布をはじめ、木材、ラタン等の高い職人技を必要とする工芸的な素材に替える事もできる。

また、製造時に素材を平面で切り出し、折り曲げることで立体にしているため、端材のサイズに合わせた制作が可能。素材の特性やサイズに順応でき、小ロットでの生産など、製造時から環境負担を抑えた選択肢が多く存在する。

 

プロトタイプ製作時は、以下の3種の素材を使用。
1つ目の素材は、リサイクル率の高い「アルミ(パンチングメタル)」。穴あけ加工した表面から繊細な光の表情が空間に広がる。

2つ目の"牛革 "は、食用牛「神戸牛」の副産物から生まれた素材で、滑らかで上品な光沢と、重量感が高級感を演出する。

3つ目は、布地の規格外品をアップサイクルした "ファブリック素材 "(NUNOUS®️)。着物の羽織を思わせるような独特の柔らかさが際立つ生地で、繊維の重なりが光を美しく軽やかに透過する。


上部から裾にかけてゆったりと広がるプロポーションと、細部のしつらえ。羽織の内側を伝い、暗闇に生まれた光だまりが、空間に心地よい緊張感と静けさを与えてくれる。

Photo by Ryohei Maehara

Milano Salone / Salone Satellite 2023

Material : Leather (KOBE LEATHER® TSUYU ”PINK / GRAY” ), Fabric (NUNOUS ”SKIN” ), Aluminum plate (anodized).

HAORI / 2023

Atsushi Shindo

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